まだそんなに生きてはいないが、
少しばかりの人生ってやつを振り返ってみる。
昔も今も僕の世界は暗く光は灯らない。
足元だけが見えているのは救いか。
けれど、歩む道はズタボロで、頻繁に踏み外す。
落ちないようにと必死にしがみついて、
やっとあがると、今度は息切れをおこす。
そんなのを繰り返すから、
僕の肺ももう限界に近い。
息をしているのかさえ分からない時がある。
身体中を駆け巡る酸素が当たり前のように思えた日が遠い。
脳が思考を止めて、
僕の足が止まる。
『一体どこにいるんだろ』
反射的に口が動いた。
目にうつるのはただ一面真っ黒な世界。
けれど、そこにボヤけた何かを見た。
まるで眼鏡をかけ忘れたかのように、
それは曖昧な輪郭をちらつかせている。
だんだんと鮮明に色濃く浮かんできて、
僕の目に涙が滲む。
上手く動かない足に力が戻り、
下手に言葉をもらす口をつぐんだ。
その背中を追いかけて一歩踏み出して、
停止した思考を感情で再び動かす。
誰かがこの世界には希望なんてないと歌っていた。
僕もそれを狂信者のように歌っていた。
けれど、今僕はそれを歌うことができない。
僕は胸を張って僕を肯定する。
今見ている世界を肯定する。
信じてくれたあなたを肯定する。
『正にあなたは僕の希望だ』
彼が少しだけ振り向いて微笑んでくれた気がした。
〝あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ
あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ〝
amazarashi 「僕が死のうと思ったのは」