兵庫県太子町の斑鳩寺に伝わるソフトボール大の地球儀のことである。
表面には南北アメリカ大陸や、ユーラシア大陸などがレリーフのように描かれている。
また、1800年代に発見された南極大陸に相当する大陸や、ムー大陸に相当する部分にも大陸が描かれている。
西暦606年に聖徳太子によって建立されたと伝わる斑鳩寺には、聖徳太子ゆかりとされる宝物が所蔵されており、江戸時代に目録『常什物帳』が作成された。
その中の「地中石」と記載されているのがこの地球儀であるといわれ、少なくともその頃から存在していたと考えられている。
2003年3月
テレビの企画で、材質などの科学的な分析が行われた。
分析結果により材質は石灰や海藻糊であり、建材としてよく知られている漆喰の技法で造られた可能性が高いと判明した。
地球儀の表面には「墨瓦臘泥加（メガラニカ）」という文字が書かれていることも判明した。
※メガラニカ
かつて南極を中心として南半球の大部分を占めると推測された仮説上の大陸のことである。
当時知られていた大陸は全て北半球に偏っており、安定性が悪いように見えたため、南半球にもそれと釣り合いが取れるだけの巨大な陸地が存在するという考えが生まれた。
古くは2世紀古代ギリシアのプトレマイオスの地図に見られる。
しかしメガラニカという名称は、1600年代にマゼランのスペイン名にちなんで付けられた名称である。
メガラニカの名称が書かれていることから聖徳太子(574-622)の時代ではなく、1602年以降の製作である可能性が高い。
調査結果によると寺島良安が製作したとされている。
『和漢三才図会』に掲載されている「山海輿地全図」と聖徳太子の地球儀と言われているものの地形がほぼ一致するという理由などからである。
これらのことから、聖徳太子の地球儀は江戸時代に作製されたとされている。
またこの地球儀の南極大陸やムー大陸と思われている大陸は、フィリピン・インドネシア・ミクロネシアの島々である。
※寺島良安
てらじまりょうあんとは江戸時代中期の医師である。
和漢の学に通じ、1712年に図説百科事典『和漢三才図会』全105巻を完成させた。
