雷雨’s blog

現実を書こう!

Euthanasie

死して尚、あなたは僕の中に居座り続ける。
何もない空っぽの僕の中に。
器は満たされた。
蒸発した涙が、再び元に戻る。
殺風景な部屋で、思い出に浸っていると、突然カーテンが揺れた。
開け放った窓から桜の花びらが舞い落ちる。
それを手に取り、読みかけの本に挟んだ。
昼の暖かさが眠気を誘い、思わず欠伸が出る。
それに驚いたのか、膝の上で、猫が鳴いた。
僕はそっと彼女の頭を撫でる。
すると、ゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らした。
それはまるで、あの日のように。
ただ違うのは、苦しそうな呼吸音だけ。
ただそれだけ。
『ありがとう』
あなたの声が聞こえる。
僕は今日も花瓶に花をさす。