雷雨’s blog

現実を書こう!

旅立ち、そして・・・(駄文③)

平成30年3月、私は高校を卒業した。
師匠である先生との別れは辛いものだったが、それ以上にこれからの人生への期待が大きかった。
最後に先生は「モホロビチッチ不連続面」と言っていたが、意味を理解できなかった。
進学先は短期大学。
地元に残りたいという思いもあったが、父がその大学を卒業していたということもあり、勧められそのままの決定となった。
幼い頃から保育士になりたいという夢を持っていた私は、当然のように短期大学にしたが、専門学校でもよかったのではないかと今更思っている。
短期大学の堅苦しそうな雰囲気が私には合わないと感じたからだ。
そんなことを思いつつ、私は今、明日の出発の最終確認をし終えた。
殆どのものはもう既に新天地へと送られていたが、それでも手荷物は重い。
母に「これは持っていけ」「これも必要」といろいろ渡されたためだ。
少しだけ鬱陶しいと思っていた両親ともこれで数回しか会えなくなるということに寂しさを感じる。
ふと、家族写真が目に留まり、一層その気持ちが強くなった。
そして、少しでも気を紛らせようと、使い古したノートを手に取る。
開くと、そこには今まで書いた二次創作(イラストや夢小説)が詰め込まれていた。
今でも幼稚な文章力だが、昔はもっと幼稚で、良い文章とは呼べないものばかりだ。
アニメよりもゲームのものが多く、今でもよく書いているが、たまに普通に小説を書きたくなる時がある。
そんな時はいつも前半しか書けず、書きかけのまま放置してしまう。
ノートの所々がそれだった。
そして、最後のページを捲り、思わず「あっ」と声を上げる。
そこは白紙だったが、1枚の写真が挟められていた。
懐かしさが込み上げ、目頭が熱くなるのを感じながら、その写真を見つめる。
これは置いていったほうがいい。
何故かそう思い、再び写真を挟め、静かにノートを閉じる。
それと同時に机の上に置いていたスマホの着信音が鳴り響いた。
滅多に着信が入らないそれを急いで手に取り、画面に映された文字に不思議と笑みが溢れた。
「お久しぶりですね、元気でしたか?」


※フィクション。漢字直しや文章直しあり。