雷雨’s blog

現実を書こう!

短編夢小説/BLEACH 浦原喜助(切)

私が夢見る時に、あなたは私に触れるけれど。
あなたが夢見る時に、私はあなたに触れることができない。
私達は一体何を見ているのだろうか。


◆ You in a dream. ◆


何かを変えたかったわけでもなく、何かを欲したのでもない。
私はただ─。

「雷雨サン…そろそろ戻らないと」

『ねぇ、喜助さん』

もう少しだけ、もう少しだけでいい。

『触れてもいい?』

「………もちろん」

あなたの頬に触れられるのは私だけだと。
あなたの温もりに触れられるのは私だけだと。
そう感じていたかった。

『温かい ね…』

「今日は暑いっスからねぇ…ハハハ」

『…本当にそれだけ?』

この時間が永遠に続けばいいのにと思う私は、我が儘だろうか。
神様は許してくれないだろうか。

「………。」

『ねぇ』

「雷雨サンが触れるからっスよ…」

どうか忘れないでほしい。
例え、この世界に戻れなくなったとしても。
私がここにいたことを。
あなたを愛していたことを。

『喜助さん…好きよ』

「…僕もっスよ…」

離れたくなかったと、ずっと一緒にいたかったと。
叶わない願いはどこかに埋めてしまおう。
今、この瞬間を共に生きよう。

「…もう時間っス…」

『………。』

「…僕はずっとここに居ますから…」

あなたに会えたことを私は後悔していない。
心をどこに託せば良いのか分からない時はあるけれど。
あなたは変わらず私を抱き締めるから、私も強く抱き締め返す。
ただそれだけで私は満たされるのだ。

「安心してお眠りなさい」

次はいつ会えるのだろうか。
次はいつ話せるのだろうか。
あなたの声が、笑顔が。
私の中で渦巻いて、思い出を埋め尽くして。
私の心をきゅっと締め付ける。

「いってらっしゃい…雷雨サン」

あと何回、好きと伝えられるのか不安はあるけれど。
あなたが安心してと言うならば、私はあなたを信じよう。
きっと私達は─。





胡蝶の夢を見ているに過ぎない。