雷雨’s blog

現実を書こう!

【意味が分かると怖い話】ゆりか

保育士をやってると子どもと親、どちらとも上手く付き合っていかなきゃならないんだけどさ。
ある子がどうしても気になってたの。
なんか、妄想癖っていうの?
自分の名前を変えて遊ぶっていうかさ、「わたしね、ほんじょーみかんってなまえなの。」って私に言うんだ。
本当は齊藤ゆりかって名前なのにね。
で、ある日。皆がお昼寝してる時にあの子もお昼寝してたんだけど、寝言を呟いてるみたいで小さな声が聞こえてきたんだよ。
耳を澄ましたら「まま?ぱぱ?・・・どこ?」って言ってるの。
悪夢に魘されてるんだって可哀想になったけど、まぁどうしようもないし、そのままお昼寝タイムは終了。
帰る時間になってさ、皆親が迎えに来て帰っていったの。
その子もお母さんが迎えに来たんだけど、その子全然気づかなくて。
お母さんが『ゆりかー』って名前呼んでも反応しないわけ。
仕方ないから私が迎えに来たことを教えてあげるとさ、「おばさん!」って言ってお母さんに抱きついたのさ。
お母さんも私も妄想癖があるって知ってたから、別に気にはしなかったけど、お母さんなのにお母さんって呼ばれないのは寂しいなぁって勝手に思ってた・・・その時まではね。
あの子はもう卒園しちゃって、どこに行ったのかも分からない。
今思えば、何で早く気づいてあげられなかったんだろうって後悔してる。
テレビつけたらある番組で2、3年前の事故の特集がやってたの。
家族三人を乗せた自動車事故。
母親と父親の遺体は発見されたけど、子どもの遺体は発見されなかったんだって。
本城みかんって子の遺体がね。


【解説】
その子には妄想癖なんてなかった。『ゆりか』と呼ばれても反応できなかったのは本当に本城みかんって名前だったから。お母さんのことを「おばさん」と呼ぶのも本当にお母さんじゃないから。でも、親戚でもない。だって、親戚のおばさんだったら、名前を変える必要なんてないから。おばさんは他人。つまり、事故の時に拐われた・・・本当に事故だったのかな?