雷雨’s blog

現実を書こう!

USJ来場記念夢小説/クィレル教授(甘)スネイプ教授(微甘)

『天秤座と双子座って同時に観測出来るんですか?』
「えっ、・・・ふふっ。ええ、出来ますよ」
『なっ何で笑うんですか!?』
「すみません、でも、二つはとても近いんですよ・・・私達のように。」
●双人●
「雷雨はどこにいる!?」
慌てた男はすれ違う生徒を全員捕まえては同じことを聞いていた。
普段落ち着いている男が焦っている様子は誰から見ても不自然である。
頭から爪の先まで黒に身を包んだ彼はここホグワーツの薬学教授。
名を―「スネイプ先生」
突然声をかけられ足に急ブレーキがかけられる。
彼を呼び止めたのは少女であった。
「雷雨を捜してるんですか?」
「Ms.グレンジャー、知っているなら教えていただきたい」
「彼女からの伝言です。『捜さないでください』と」
スネイプの額に青筋が浮き上がった。
「教えたまえ」


ホグワーツの屋根に一人星を見上げる者がいた。
腫れた瞼には涙が少し残っている。
『・・・先生』
天秤座を見据えると記憶から声が蘇る。
(知っていますか?天秤座の天秤は、人間の罪を計るために使うと伝えられているんですよ)
(『へぇ、じゃあ、先生は天秤座だから先生なんですね!』)
(え?)
(『だって、そうですよ!先生は生徒のこれからを創っていく。つまり、罪を軽くするも重くするも先生次第なんですから!』)
(うーん、少し違うような・・・)
(『まぁ、細かい事は気にしないでくださいよ』)
(そうですか・・・じゃあ、雷雨は誰かを助けるんですね)
(『いえ、私は逆です。もう助けられています』)
(誰にですか?)
(『先生が―)
『ポリュデウケース』
声に出せばあの日が返ってくるようであった。
頬を伝う雫を拭い再び夜空に想いを馳せる。
彼女は思わず手を伸ばした。
それを勢いよく掴む大きな手。
「まだ空には逝かせんぞ」
『・・・どうしてここが?』
「グレンジャーが吐いた」
『正確には吐かせたでは?』
少しの沈黙と睨み合の末、二人は屋根に腰を降ろした。
彼女は未だに掴まれている腕を振りほどこうとするも、男の力には敵わない。
仕方がなくそのまま話は進められた。
「・・・もうクィレルはいない」
『分かっています』
「では、何故ここに来た?死ぬためか?」
『思い出の場所に来てはいけないんですか?』
「・・・」
二人の上で双子座が輝いた。
「カストールはクィレルの方だった」
『・・・』
「彼は君に救わ『そんなことないっ!!』
冷たい風が髪を撫でる。
『ご存知ですか?カストールは死ぬ運命でしたが、ポリュデウケースに救われるんです。でもっ!先生は死んだんです!私は救えなかったっ!!』
「・・・なら、これはどう説明する?」
スネイプが懐から取り出したのは手紙だった。
彼女は戸惑いながらも手に取る。
「確かに神話でのカストールは運命から救われた。だが、救いとはそれぞれの形がある。本人が救われたと思えば他人から批判されるようなことでも、それは救いだ。彼の救いとは死だったのだ。君も知っていよう・・・彼は闇に溺れていた・・・闇に堕ちた者が最後の正義を取り戻せたのなら、望むものはただ一つだけだ」
『・・・こっこん・・なっ・・・ことっ・・・!』
震える手で必死に直筆の文字を追う。
久し振りに見た彼の字は天体よりも美しかった。
「・・・君の苦しみが和らぐなら、我輩も一緒に苦しもう・・・だから、生きてくれ」
泣きながら小さく頷く彼女をスネイプは強く抱き締めた。
もう同じ過ちは繰り返さないと誓ったあの日を思い出して。


【  拝啓 雷雨
  これを読んでいるということは、きっと私はいないのでしょう。すみません。
怒っていますか、本当に申し訳ない。
でも、自分を責めてはいけませんよ。私が死んだのは君のせいではないのですから。
それに、君は私を救ってくれたんです。君は身に覚えがないと思うでしょうけどね。
君の存在が私を照らす光でした。ありがとう。


ところで、この前の話の続きですが、君の言葉には誤りがあります。
ポリュデウケースは君なんです。誇っても良いことですよ。
そして、カストールは半分空にいることを許され、もう半分を地で過ごすことを定められました。ですが、それは神話の話。
私は思うんですよ。きっとカストールは空にいることを望まず、死を選ぶと。


ずっと愛する人の傍で見守っていると。


愛しています。
             クィリナス 】