雷雨’s blog

現実を書こう!

ヘクター・バルボッサ夢小説(微甘)

「この羅針盤は一番欲しいものの場所を指し示す」


$Pale love$


「お前さんの一番欲しいものは何だ?」
『私の欲しいもの?』
逃げるように椅子の下に隠れるジャックに少女は眉を細めた。
『何してるの?』
「見ろ、羅針盤はどこを指し示してる?」
言われるがままに羅針盤に目を落とすと、それは後ろを指し示している。
『・・・南?』
思わず振り返る少女にジャックは笑った。
「そんな近くにあるわけないだろ?」
そう言って少女に視線を移すと、顔を赤らめた様子が見てとれる。
「おい、嘘だろ?」
慌てて周りを見渡すも、何が望みなのかが分からない。
少女が顔を赤らめた。
女が赤らめるのは恋心。
恋心が向く先は・・・。
「男か?」
肩を魚籠つかせた少女にジャックは不適な笑みを浮かべる。
「ウィルか?あいつにはエリザベスがいる。義眼野郎とデブは論外・・・。うちの航海士は・・・ないな。じゃあ俺か?だが、残念。生憎餓鬼には興味がない」
一人で話続けるジャックを他所に、一人の男は何も知らずに近づいた。
「ジャック・・・。何をうちの船員と話してやがる?雷雨もこっちにこい。旨いものがたくさんあるぞ」
『はい』
照れた彼女の目には男の姿。
気づいてしまったジャックは唖然とした。
「まさかな・・・」
男は少女に林檎を手渡す。
「丸かじりは初めてか?」
微笑む少女。
その横に立つ男の名はヘクター・バルボッサ