雷雨’s blog

現実を書こう!

PsychoBreak 2日本語版発売記念夢小説(切)

wake up.
He will come.


†Second beginning†


『!!』


女が目を覚ますと、そこはいつもの場所ではなかった。


頭痛に頭を押さえながら、起き上がる。


周りを見回し、女は記憶の片隅にある男を思い出した。


ルベン・ヴィクトリアーノ。


それが男の名前だった。


そして、彼は死んだ。


故に女は現実に戻っているはずだと、自分の身体を確認するように触った。


だが、現実も精神も同じように痛みを感じ、同じように死ぬことから、そのような確認は意味を成さなかった。


「雷雨」


『ッ!!』


死んだはずの男の声が頭の中で女の名を読んだ。


雷雨はそこで気づいた。


自分を目覚めさせたあの声もあの男だと。


『・・・出ていけっ』


そう呟くと、頭を抱えるようにして、その場に膝をついた。


目の前の風景が徐々に赤みを帯びていく。


それを見て、雷雨は目を見開いた。


ルヴィクが精神に根付いている。


それも、もう手遅れの状態で。


「あいつが来る」


『・・・あいつ・・だと?』


頭の中のルヴィクは怒りに満ちた声を響かせた。


頭が割れそうな痛みに耐えながら、雷雨はその声に耳を傾ける。


「ステファノ・ヴァレンティーニ!!」


ルヴィクが誰かの名前を叫んだ直後、雷雨の目の前が赤から白へと変わっていった。


『・・・ステファノ・・・』


誰かがこちらへと近づいてくる。


雷雨の中で恐怖心が甦った。


その場から動くことが出来ず、そのシルエットをただ凝視する。


「ああ、僕がステファノ・ヴァレンティーニさ」


白が剥がれ落ち、表情も分かる程に距離を詰める男。


雷雨は言葉を失った。


これはまだ精神世界の話なのだと理解するのに時間はかからなかった。


「雷雨だったか・・・さて、僕の作品になる気はないか?」


『・・・』


雷雨の頬にステファノの手が伸びる。


我に返った雷雨は触れられる寸前で一歩後ろに下がり、それを回避した。


「君はまだ状況を分かっていないようだ・・・現実のな」


『・・・現実?』


ステファノは高笑いをしながら、自らの頭に指を押し付けた。


「これは君の世界だ、もうルヴィクの世界ではない、この意味が分かるか?」


『・・・ッ!!!』


雷雨は知りたくもないことを知らされた。


もう自分は現実には戻れない。


そのことが何よりも悲しく悔しかった。


「君の脳は丁重に扱っている。だが、外の者が君の脳を破壊したらどうなる?・・・ククク、私は君と交渉がしたくてね、ここに来たのだ」


『・・・交渉?脅迫の間違いでしょう?』


「話が早いじゃないか」


ステファノは雷雨の周りをゆっくり回りながら、嘗め回すように視線を這わせる。


『何が目的?』


雷雨の問いに少し間を置いて、ステファノは不適な笑みで答えた。


「君の精神に僕の精神を繋ぐ。ルヴィクが君の中で生きているように」


『・・・全て聞こえてっ・・・』


全てを言い終える前に口を塞がれ、雷雨は意識が飛びそうになるのを必死に堪えた。


「僕は写真が好きなんだ、君の大好きな金庫にでも仕舞おうか」


こいつは全てを知っている。


そう感じた雷雨は抵抗した。


拒絶しなければ、第二の悲劇が生まれてしまう。


それは、雷雨にとって第二の死を迎えることよりも恐ろしかった。


「ルヴィク・・・君の時代はもう終わりだよ」


最後に雷雨はステファノの歪んだ顔を見た。


一瞬、それはルヴィクに変わり、みるみるうちに燃えだした。


その中に何かを見つけると、穏やかな表情で声を振り絞る。


『・・・キーパー』


雷雨の呼吸は静かに止んだ。


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【お知らせ】
明日からblogを休止します。
ご了承ください。
再開はTwitterにてお知らせします。
また、二作品の駄文が更新されますが、休止という形なので、コメントの返信は出来ません。


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【コメント返し】
たつ様、私は大丈夫なのですが、それらは私が描いたものではないので、私的にもグレーゾーンで載させていただいています。
なので、お使いの際は、作者に聞くのが一番ではございますが、ここまで来ると誰か分からない、連絡がつかない等もあるので、気を付けながら使うというのが正しいかもしれません。
ご注意くださいませ。