雷雨’s blog

現実を書こう!

実写映画BIO HAZARD(Resident Evil)夢小説/オリジナル(切)

この世界は哀しみに満ち溢れている。
そして、いつかその感情さえ消えてゆく。


†Nothing world†


ラクーンシティが消えた。
それは、世界を震撼させなかった。
何故なら、誰もいなかったから。
私は雷雨。
これは、もう一つの物語。


街のほとんどは砂漠と化し、何も残ってはいない。
死骸が転がり、アンデッドが歩いてるだけだ。
私はその日、いつものように歩き続けていた。
襲われないように、ひっそりと。
もちろん、独りだ。
仲間なんて最初からいなかった。
そう思うようにしていた。
ただ一人を除いては。
『・・・あなた誰?』
私の前に現れたのは生きている人間だった。
フードを被った女。
物珍しそうにこちらを見ている。
「あなたこそ」
『・・・私は雷雨』
「私はアリスよ」


その後、彼女と旅を共にした。
とても刺激的なものだったけど、私の探しているものは見つからなかった。
そんな私を察してか、彼女は私を気遣う毎日だ。
こちらも息苦しくなる。
ある日、堪えられなくなり、彼女に打ち明けた。
『私は大切な人を捜している』
「大切な人?」
焚き火を枝でつつきながらアリスは聞き返す。
炎が少し強く跳ねた。
『・・・生きてるかは分からないけど』
「手伝うわ」


それから、彼女は懸命に捜してくれた。
でも、見つかるはずはなく。
ただ、月日が流れた。
冬になり、粉雪が舞う。
未だに季節は何事もなく廻っていた。
白い息を吐けば、空に昇っていく。
それを静かに見つめていると、目線の先に高いビルが写った。
屋上は遠く、歪んでいる。
一瞬何かが動いた。
『アリス!あそこに誰かいる!』
「え?」
慌ててアリスは屋上に目をやる。
もうそこには人影はなかった。
「何かと見間違えたんじゃないの?」
『私を信じて』
視線がぶつかり合う。
アリスの目は強く私を捉えた。
「分かったわ」


ビルに入り、所々床が抜けているところをゆっくり進む。
階段は果てしなく続いていた。
屋上まであと少しというところで突然アリスは足を止める。
『どうしたの?』
静かにと指をたて、辺りを見回す。
彼女には何かが聞こえているらしい。
銃を取り出し、構えた。
と同時に何かが飛び出す。
華麗に避け、何かに銃口を向けた。
雄叫びを上げ、アリスと対峙する何か。
それは普通のアンデッドではなかった。
「あなたが見たのはこれじゃないわよね?雷雨」
『違う!人を見た!』
「Ok」
それが合図となり、化物とアリスは走り出す。
大きく跳ねた化物の下を滑り、アリスは引き金を引いた。
何発も命中したが、それでも化物は怯まず、再び走り出す。
アリスは弾を込めている暇もなく、仕方がなくマチェットを抜いた。
今度はアリスが強く床を蹴りあげる。
近づいてくる化物の首めがけてマチェットを振った。
アリスが着地すると同時に胴体から離れた首が落ちる。
その一連を美しいと思ってしまった私は馬鹿なのかもしれない。
『・・・アリス』
私が何かを言いかけると、遠くで物音が響く。
うなり声が沢山聞こえる。
囲まれているのがすぐに分かった。
アリスは静かに構え、目で合図を送る。
私は頷き、階段に足をかけた。
「行って!」
その言葉で私は走り出す。
後ろを見ればアンデッド犬がアリス目掛けて飛び出していた。
彼女を信じることに躊躇いはなかった。


屋上に出ると、ひび割れだけが出迎えてくれた。
そこには誰もいない。
本当に化物と見間違えただけだったのか。
いや、あれは確かに人だった。
そう考えていると、後ろの気配に気付くのが遅れてしまった。
『!?』
振り返ると同時に斬りかかられ、腕から血がしたたり落ちる。
それを見て不敵に微笑む男。
サングラスで隠れた目は赤く光っているように見える。
『アンタはっ!!』
「久し振りだな、雷雨」
後ろに数人部下を連れている。
人数的に分が悪い。
後退れば、一歩ずつ近づく男たち。
アドレナリンのせいで冷静に考えられない。
「お前の中のサラザールも元気か?」
『・・・五月蝿いっ!!』
その言葉に背中が疼いた。
アリスには悪いが、ここから離脱するには落ちるしかない。
自分を守るぐらいなら十分だ。
少しずつ端に寄ると、男は首をかしげた。
「良いのか?それで」
『何?』
男の合図で部下たちは物影から何かを連れてきた。
布を被ったそれは人のように見える。
鎖をじゃらつかせ、立ち止まる。
「独りにさせる気か?」
『・・・一体何の話をしてる?』
男は布に手をかけると、勢いよく剥がした。
目の前に現れた人物に目を見開く。
言葉が出なかった。
「お前が捜してたものだ」
『・・・』
手を伸ばしたい衝動にかられるも、すぐに我にかえる。
男を睨み付け、拳を握った。
『今すぐ解放して』
「・・・ならば、サラザールを出せ」
『何がしたいの?』
何も言わず、男はナイフを取り出す。
『止めて!傷つけないで!!』
「フン・・・話がしたいだけだ」


少しの痛みと共に羽を伸ばせば、そこに恐怖が広がる。
尾を高く上げれば、化物を見る目に変わる。
隠してきたものを晒すのは堪えがたかった。
特に愛しい人が怯えるのは見ていられなかった。
「まだ片翼か・・・いや、もう無理だったな」
『・・・』
精神を集中させ、意識を彼に向ける。
私の中の彼は一向に出てこない。
「どうした?」
『出てこない』
男は銃を取り出した。
『待って、今来るから』


白い霧が辺りを包むと、目の前に男の子が現れる。
もう大人の子ども。
こう見えて彼は成人なのだ。
『お願い、出て』
「・・・出られない」
『どうして』
「・・・君が拒絶してる」


目を開けると、そこにはもう男の子はいなかった。
「駄目だったか・・・」
『待って、まだ』
「もういい」
そう言うと去っていく男
それが合図となり、鎖を外された。
やっと会えた大切なもの。
疲れはてた様子のあの人に手を伸ばす。
手が触れそうになった瞬間、それは目の前から消えた。
部下に蹴られ、外に放り出された身体。
自分だけが屋上に取り残された。
『ウェスカーッ!!!!!』
怒りに任せて叫び、直ぐ様飛び込む。
「愚かな奴だ・・・片翼のプラーガ。お前では自分を守れても、大切なものは守れない」
風をきり、猛スピードで追い付くと、彼は気を失っていた。
翼で抱え、尾をビルに突き立てる。
が、脆くなったそれらが尾を止めるわけもなく、落ちていくことに変わりはなかった。
このままでは二人とも死ぬ。
窮地に陥った自分の脳裏に誰かの声が響いた。


「昔ね、今のあなたと同じくらい小さいときに蜘蛛の巣に引っ掛かった蝶を見かけたわ」
『助けなかったの?』
「その蝶の羽は片方無かったの、だから助けても飛べずに死んでしまうことが見ただけで分かったわ」
『・・・』
「その後、すぐに蝶は食べられたけど、それはわざとだったの」
『え?』
「その巣の下には蝶の卵ともう一頭の蝶がいたわ」
『・・・』
「彼か彼女かは分からなかったけど、確かに片翼の蝶は家族を守る為に身を捧げたの。もう一頭の蝶はその最期を見届けると、飛び去っていったわ」
『卵は?』
「蜘蛛は満腹で食べなかった」
『・・・』
「あなたもいつかそんな時が来るわ」


『母さん・・・今がその時だよ』
私もその蝶のように・・・。

「お前は一生飛ぶことは出来ないっ!お前は一生自由など手にすることは出来ないっ!!」
『飛べなくていい!自由などいらない!!』
ただ一つを守れたらならば・・・私は・・・。

「・・・フン、最期まで愚かな奴だ、愛してたのはお前だけだというのにな・・・」

『さよなら、愛しい人』


最期に見た彼の寝顔。
翼と尾で包めば温かい。
最後の最高の思い出。
消えないで。


「ウェスカー」
「・・・アリスか」
銃口を構え、二人は睨み合う。
「私はあなたを許さないわ」
「ああ、勝手にしろ」
一発の銃声と共にウェスカーは姿を消した。
アリスが下に降りると、そこには変わり果てた女の姿と規則正しく呼吸をする男の姿があった。
「雷雨・・・あなたの守りたかったもの、捜してたものはここにあるわ」


きっと、失うものなんてこの世界には何もないのだ。

すみません!
こんな駄文。
しかも、結構前に書いたものなので、今の気持ちとは少しずれてます。
前向きで幸せなのに、これは合わない。。。
でも、せっかく書いたということで、載せました!
適当に書いてしまったので、読みづらい文章です。
本当に申し訳ありません。
さよなら、ありがとう。
がテーマの夢小説でしたが、今はもう一つ付け加えたいと思います。
『また会いましょう』