雷雨’s blog

現実を書こう!

ホラーゲーム制作シーン案1とイメージイラスト1

女は息を切らしながら森を駆け抜けていた。

後ろからは村人たちの声と足音。
ちらと振り返れば松明の灯りかかすかに見える。
血が滲んだ両足を気にすることなく、森を抜けると女は驚いたように立ち止まった。
目の前には切り立つ崖。
周りに迂回路は無く、戻ろうにもすぐそこまで追っ手は迫っている。
「…っ」
女は一瞬だけ躊躇するも、諦めたようにその場に立ち尽くした。
「そこにいたか!」
村人の男たちが松明をかざしながら、観念しろと女に近寄ろうとする。
それを拒絶するように女は一歩、また一歩と崖へ後ずさりした。
それに気づいた一人の男は周りの村人に待てと手で制する。
「話し合おうじゃないか」
男が囁くように語りかけるも、女はお構い無しにまた一歩後ずさりした。
「村に必要なんだ、分かってくれ」
女が縁に立つと、村人たちが慌てたように男の制止を無視して駆け出す。
「やめろ!」
後ずさりする片足が空を切って女は倒れるように暗闇へ身を任せる。
村人たちが手を伸ばすも届かず、音もなく女は崖下へと消えていった。
それを見ていた男は周りの村人たちが疲れたように座り込む中、一人動揺を隠しきれずに佇んでいた。
どうしたんだと村人の一人が問うと、男は「…あの女…笑ってた」と呟くように答えた。

 

イメージイラストも描かせていただきました。