雷雨’s blog

現実を書こう!

駅に落ちていたメモその5

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俺は咄嗟に柱の裏に隠れた。
そっと覗いてみると、先程の女性がホームに上がろうとしているのが見える。
整備士には見えない。
一体誰なのか。
聞きたいが怖い。
彼女は敵なのか味方なのか分からない。
けれど、このまま隠れていても埒が明かないのは確かだ。
再び覗き見る。
女性はベンチに座ったようだ。
俺は深呼吸をして、なるべく驚かせないように声をかけた。
『こんばんは』
と言うと、彼女は肩を魚籠つかせて、静かにこちらを向く。
青白い肌と長い黒髪が妙に目立ったが、「こんばんは」と普通の声で返してきた。
俺はこの状況を彼女に聞いてみようと思う。