雷雨’s blog

現実を書こう!

駅に落ちていたメモその6

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『誰ですか?』
「…あなたこそ」
『俺は…●●●●。何故かここにいたんです』
「私は、◯◯◯◯◯。ずっとここにいます」
『いつからですか?』
「最後に覚えているのは2011年11月30日のことだけです」
『…まっ待ってください。◯◯◯さんは、8年と数ヶ月ここにいることになりますよ』
「もうそんなにもなるんですね」
『他に人はいますか?』
「時々人が来ます、●●さんのように。けれど、今はいません」
『その方たちはどこへ?』
「さぁ、分かりません。皆、突然消えてしまうか、線路の向こうへ歩いていったきりです」
『◯◯◯さんは、線路から歩いてきましたよね?大丈夫だったんですか?』
「はい、よく分かりませんが、大丈夫でした。もう何周もしてるんです」
『どういうことですか?』
「ここの線路、1つに繋がっているみたいです。山手線みたいに」
『そんな…でも、それはおかしくありませんか?線路の向こうに行った人たちがいるのに』
「そうですね…私もよく分からないんです」
『もしかしたら、抜け道があるのかもしれませんね』
少しの沈黙の後、彼女はベンチから立ち上がり、再び線路へ降りた。
『どこへ行くんです?』
「ついてきてください」