雷雨’s blog

現実を書こう!

駅に落ちていたメモその4

f:id:mikuru63:20200518214912j:plain
暫くベンチにただ座っていた。
何かを考えるわけでもなく。
ただ。
ふと、線路が気になった。
立ち上がって、寄ってみる。
左右どちらも暗闇に続いているだけだ。
降りてみようか。
いや、電車が来たら危ない。
けれど、一向に来ないのも確かだ。
もしかしたら、次の駅に行けるかもしれない。
ここは賭けだ。
大きな賭けだ。
命を張ってみるだけの価値はある。
これ以外に打開策はないのだから。
と、考えていると、線路で音がする。
足音?
そうだ、足音だ。
けれど、一体誰が?
ここには駅員もいないのに。
恐る恐る音のする線路の先を見ると、遠くから懐中電灯を持った女性が歩いてきていた。