雷雨’s blog

現実を書こう!

駅に落ちていたメモその8 END

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「…●●…っ!!先…!起き……た!!」
体が動かない。
呼吸も少し苦しい。
傍に誰かがいた。
そして、白い男がやってきて、俺の目に光をあてる。
これは、医者か。
俺は患者?
どうして?
頭が痛くて考えられない。
「大丈…な…で…か?」
「は…問……いで…」
誰かと医者が話している。
けれど、上手く聞き取れない。
俺はどうしちゃったんだろうか。
先程まで駅にいたはずなのに。
分からない。
少しして医者と看護師が病室を出ていった。
誰かが傍にあった椅子に腰かける。
誰だろう。
「…●●…よく頑張ったね」
この声は母さんか。
でも、なんで俺は病院に?
聞きたいのに声が出ない。
「あんた、通勤途中で車の事故にあったんだよ」
車の事故?
ああ、だから体全体が痛いのか。
「あんたが乗ってたタクシーの運転手も無事だし、追突してきた軽トラの運転手も無事。あんただけが意識不明の重体だって聞いたときには心臓が止まるかと思ったよ」
それから1ヶ月が経って、俺は医者も驚くほどに早く回復した。
通勤中の車の事故。
不運だが、生きていて良かったと思える。
意識を失っている間に見たあの夢は、何だったのか。
あの日、たまたま電車に乗り遅れた。
ただそれだけだ。
何故、駅の夢を見たのか。
そして、あの女性は誰だったのか。
謎は謎のままだ。
そして、このメモは捨てることにする。
こんな不可解な出来事は早く忘れたい。
駅員のアナウンスが聞こえる。
今日は電車に乗れそうだ。
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私はこのメモを拾った。
だからこそ、書き残したい。
私は何故、この駅から出られないのか。
私は…。
















※駅に落ちていたメモは全てフィクションです。